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モノタロウ大企業向け間接資材集中購買サービス コラム
「1円でも安く買う」ことを重視すべきか「生産性を上げる」ことを重視すべきか。1円でも安く買うためにはそれなりの工数をかけなければいけない、でも業務は効率化したい… 一見相反する問いに対し、とことん考え、答えを投げかけるセミナーを2024年3月に実施しました。「自社の購買形態を見直していくきっかけとなる」「新たな認識を与えてくれた」と反響をいただいた本セミナーの「3Dで考える調達コスト」をエッセンスに凝縮したコラムをご紹介します。
 

1円でも安く買うべきか、生産性を上げるべきか。今調達が直面する永遠の課題


調達購買業務において、「1円でも安く買う」ことを重視すべきか「生産性を上げる」ことを重視すべきか。という問いがあったならば、多くの調達購買担当者が「1円でも安く買う」ことであると答えるでしょう。コストの削減、こと価格の低減に関しては、ほとんどの企業の調達においてメインミッションに掲げられています。
図1:間接材購買においても多くの企業のメインミッションはコスト削減
 
この「1円でも安く買う」ことに関しては、日々血もにじむような努力を日々されているという方が多いと思います。仕入先との価格交渉、複数の仕入れ先の比較、輸入品を扱う際の為替の動きの見極め、インフレの影響への対応等々…
しかし、日々最優先に取り組まれているからこそ、「これ以上単価を下げる施策が残っているか」というとかなり難しいのではないでしょうか。「できることはやり尽くしている」感覚があるかと思います。

一方で、コスト削減を包括的に行うためには、「単価(Price)」に限らず、あらゆるコストに目を向ける必要があります。ここでは「トータルコスト削減」と呼びます。

 
図2:トータルコスト削減の考え方
図2で上げているのは一例ですが、こうした様々な場面でかかる「工数」を削減することも、トータルコストの削減という観点では重要になってきます。つまり、「購買の生産性を向上させる」こともトータルコストを削減する一つの手段であるととらえることができます。

特に、日本企業の生産性の低さは世界的に見ても顕著です。OECD加盟国で時間当たりの労働生産性を国際比較した調査では日本は38ヶ国中30位と低い状態です。逆に前向きに捉えるならば、伸びしろがあるとも言えます。

生産性を上げるといってもどこから取り組めば良いのか、また継続すべき単価削減とどう折り合いをつけるのか、次にて解説します。

 

全体最適で考える方法


企業の購買品(物品)の構成を表した有名な図に次のようなものがあります。一度は見たことがある方が多いのではないでしょうか。
図3:企業の購買品(物品)の構成
Y軸(縦軸)が、単価×購入数量=金額の大きさ、X軸(横軸)が品目です。
今回は、便宜上直接材、間接材のヘッド・ロングテールと、A/B/Cの3つの領域に分類します。
Aの領域=直接材は、調達・購買担当のプロの皆様が既に時間をかけて交渉を重ねていらっしゃると思います。従い、金額も大きくインパクトが大きい領域ではあるものの、さらなるコスト削減余地があまり残されていないというのが特徴です。
一方、B・Cの領域=間接材については、品目が多く金額も安いというのが特徴で、実はコスト削減余地が多く残されている領域でもあります。
ただし、B・Cの領域においても、Aと同様に時間をかけて縦軸をできるだけ小さくしようというアプローチをするのが正解なのでしょうか。例えば、100円のボールペンの値段を下げるためにAの直接材と同様に価格交渉をするのは、やや非効率、部分最適のように見えてきます。

部分最適とはどういうことか考えるために、ここでは上記の図の見方を変えてみましょう。
実は、先ほど表示した縦軸(単価×数量)横軸(品目)のほかに、もう一つ考えるべき”Z軸”があるのです。それが、「時間コスト」すなわち、調達にかかる時間資源です。
上記の図は平面でしたが、Z軸(奥行)に「時間コスト」を足してみてみると、下記のような立体構造になります。

 
図4:図3を立体構造で見た場合
本来の調達のミッションが「トータルコスト」を削減することであると先に述べましたが、それは図3の「面積」ではなく、このZ軸・時間コストを加味した「体積」を少しでも小さくすることが本来の目的であるはずです。

それでは、体積を少しでも小さくするには、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか。

 

直接材の場合


まず初めに、Aの領域=直接材については、「1円でも安く買う」すなわちY軸を少しでも減らすことが正解です。
図5:Aの領域
直接材は単価×数量=金額が非常に大きくなる領域です。その分、金額交渉等の時間コスト(Z軸)も多く発生します。しかし、金額が大きいが故、時間をかけたとしても単価を1円でも下げられれば、コスト削減のインパクトも何百万円とある領域です。ここでその「1円でも安く買う」努力を諦めてしまえば、Z軸はほんの少し短くなるかもしれませんが、たちまちY軸の金額が膨れ上がってしまいます。
すなわち、この領域に関しては生産性にはある程度目をつぶってでも時間をかけてサプライヤと交渉し、1円でも安く買うことが正解といえるでしょう。

 

間接材の場合


まず初めに、Aの領域=直接材については、「1円でも安く買う」すなわちY軸を少しでも減らすことが正解です。
図6:B/Cの領域
こちらの領域は、まずは生産性を上げる調達方法が最適といえるでしょう。1年に1回しか購入しない1万円以下の商品1品目を、業者と交渉して良い単価で契約できたとしても、図の縦軸を短くできる幅はわずかとなってしまいます。一方、Z軸・時間コストに関しては、大幅に削れる余地があります。その削減方法とは、ECサイトでの購買を用いた「生産性重視」の調達です。EC購買を活用することで、見積、価格交渉、発注の手間を大きく削減することができます。この領域は「1円でも安く買う」インパクトが小さいためそこをある程度妥協し、時間コストを削減する、生産性を上げることに注力するのが最適です。

BとCの領域は「まずは」生産性を上げるとお伝えしましたが、この領域をECサイトを用いたデジタル調達を進め、購買データができてきた際には、単価と購入数量の比較的大きい領域が見定まってきます。自社における「間接材のヘッド」、Bの領域の範囲を見定めるのです。
この段階に来たら、Bの領域に関しては「生産性を上げつつ」「1円でも安く買う」という両立の領域に取り掛かることができます。EC購買で生産性を担保しつつ、1円でも安いECサイトから購入する、といったことがこの段階では取り組めます。

 

成功するためには


自社の調達でA/B/Cのそれぞれの領域を最適化していくためには、購買の状況を網羅的に把握する必要があります。そのためにまずは電子化をして購買実績のデータを集める・寄せることが必須となってきます。
といっても、実際に電子化を始めるのにハードルを感じたり、今まで見積をしていたところをECに切り替えて本当に効果が出るのか心配な方もいらっしゃると思います。次では、拠点からスモールスタートでEC導入を始めた事例を紹介します。

スモールスタートではじめた事例:レンゴー株式会社様

図7:レンゴー株式会社様事例
総合包装材メーカーであるレンゴー株式会社様においては、もともと間接資材購買においては本社稟議が必要な金額を超えない限り各工場や子会社がそれぞれのプロセスで発注を進めていました。

しかし、全社にて働き方改革のためのDX化プロジェクトが発足し、間接資材購買の領域においても現場の意見を集めてみることで様々な課題が浮上しました。

アナログな業務の進め方により、購入と経理処理に多くの工数がかかってしまうことや、商社価格の妥当性の判断が難しいこと、そして本社においては、全社で購買データがブラックボックス化しておりガバナンスが効かなくなってしまうことも課題となっていました。

こうした課題を解決すべくモノタロウの間接資材購買システム「ONE SOURCE Lite」を検討していただきました。導入までの進め方として、今まで各工場・子会社でルールを設けていた状態でもあったため、一気に強制的にプロセスを変えることは本社から全拠点に導入を無理強いするのではなく、希望のある拠点から導入を進めました。

拠点ごとに導入を進めたことで、導入拠点から前向きな意見が多く寄せられ、現在ではすべての工場にシステムを導入・それぞれの運用に沿った使い方をしていらっしゃいます。

システム導入後、オンライン比率は5割から8割まで増加し、各拠点の見積・購入依頼や経理処理の工数が大幅に削減されました。また、導入によっていつだれが何を購入したかという情報がすべて自動で記録され、見える化が実現しました。
生産性の向上と見える化をB/Cの領域で実現した状態にあり、現在はよく購入する商品のプライベートブランド商品への切り替えによるコスト削減、また環境配慮型商品の購入への取り組みなど、B領域を積極的に改善していくフェーズに移行されています。

リスクを抑えられる拠点からのスモールスタートで電子化・効率化に成功し、蓄積してきたデータを活用して領域ごとの最適化に取り組んでいらっしゃる成功事例として非常に参考になるのではないでしょうか。

 

まとめ


はじめに、「1円でも安く買う」べきか「購買の生産性を上げる」べきかと二項対立のように書きましたが、単価削減を重視する領域と生産性を重視する領域を使い分けることで、調達の全体最適ができる、というのが結論になります。

その使い分けを見極める第一歩として、まずは調達を可視化・データ化することからぜひ取り組んでみてください。

モノタロウでは、間接資材の購買を統合するプラットフォーム・ECサイトの集中購買ソリューションを提供しています。また、モノタロウの購買実績をデータにまとめてレポーティングしており、データを活用した最適化のサポートもしています。

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本内容は2024年3月に実施したウェビナーを基に制作しています。
立体図の概念の複雑な部分の解説や、本記事とは別の事例等も扱っておりますので、よろしければぜひご視聴ください。

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